税務お役立ち情報

生活に通常必要な資産と、必要でない資産について

家具、乗用車、宝石、家宝の壺、ロレックスの限定品、高級スポーツカーなどが盗難にあったり、売却したら税金はどうなるでしょうか?

■生活に通常必要な資産

●家具、什器、衣服などの生活に通常必要な動産
●1個又は1組の価格が30万円以下の貴金属、書画、骨董、美術工芸品等

譲渡益は非課税  譲渡損は一切無かったものとみなす(他の所得から引けない)

雑損控除は可(災害、盗難、横領による損失は他の所得から引ける)

○生活に通常必要な資産(動産)は、売って儲けが出ても税金はかかりません
が、損した場合は、その損失は無かったものとされます。
災害や盗難にあった場合は雑損控除できます。

■生活に通常必要でない資産

●競走馬その他射こう的手段となる動産
●趣味・娯楽・保養等の目的で所有する不動産
●生活の用に供する動産のうち
・生活に通常必要としない動産
・1個又は1組の価格が30万円超の貴金属、書画、骨董、美術工芸品等
●主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産以外の資産
※平成26年の改正で新たに追加されて、これによりゴルフ会員権の売却損が 給与所得などの他の所得から引けなくなりました。

譲渡益は課税・・・譲渡損は損益通算不可、他に同種の譲渡所得がある場合だ け引ける

雑損控除は原則不可(他に譲渡所得がある場合には引ける)

競走馬については個別規定あり(あまり関係ないので触れません)

○生活に通常必要でない資産は、売って儲けが出れば、税金がかかります。損し た場合は、別個に同種の資産を売った儲けがある時には、その損失額を差引できま す。しかし、給与所得などの他の所得からは引けません(損益通算不可) 災害や盗難にあった場合は雑損控除はできません。他に譲渡所得があった時にかぎ り控除出来て、当年で引ききれなかった金額は、翌年まで繰越控除できます。

例1)生活に必要でない資産の売却損と売却益があった場合(利益の方が大きい)

1個100万円で購入した宝石を50万で売却して、同じ年にレジャーボートの売 却益が120万円あった場合

宝石は、50万円-100万円=△50万円の売却損
課税される譲渡益は、120万円-50万円=70万円になります。

例2)生活に必要でない資産の売却損と売却益があった場合(損失の方が大きい)

例1のレジャーボートの売却益が30万円だった場合

△50万円(宝石の赤字)+30万円(ボートの黒字)=△20万円(0円) 譲渡益は、20万円の赤字ですが、この20万円は切り捨てられて、課税所得は 0円になり、給与所得などの他の所得から差し引くことはできません。

例3)生活に必要でない資産が盗難にあい、同年と翌年に資産の売却益があった場合

1個100万円の宝石が盗難にあい、同じ年にレジャーボートの売却益が70万 円あり、さらに翌年に、絵画の売却益が50万円あった場合

当年70万円-100万円=△30万円 税金はなし
翌年50万円-30万円(繰越分)=20万円・・・課税所得

■高級スポーツカーや高級四輪駆動車は、生活に必要な資産か

さて、よく話題になるのが、フェラーリやレンジローバーなどの高級車です。
自家用自動車は、過去の判例では「生活に通常必要ではない動産」として認定され た事もありますが、現在では、税務署も、通勤用の自動車は「生活に必要な動産」 と取り扱っています。では、フェラーリなどの高級スポーツカーはどうでしょう?

他に乗用車を所有していて、フェラーリは鑑賞用で、休日に高速をぶっとばすだけ とか、レンジローバーは休日にオフロードを楽しむだけといった場合には、「生活 に必要でない資産」として、売却益は課税されるし、盗難にあっても雑損控除出来 ないでしょう。

しかし、自家用車はフェラーリ1台で、通勤や日常の買い物等に使用している場合 は、「生活に必要な資産」になるかもしれません。そんな人がいるの? ですね。

また、北海道在住で、冬場は必ず道路が凍結して、日常の交通手段に四輪駆動車が 不可欠の場合は、レンジローバーも「生活に必要な資産」になるかもしれませんね。

「釣りバカ」の「浜ちゃん」みたいに、ボートで運河を通って会社まで通勤に使用 して帰りに買い物とかしていたら、レジャーボートも「必要な資産」???


・2015年6月22日 公開


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