税務お役立ち情報

消費税引き上げ時の取扱の基本的な考え方

原則的に2019年9月30日以前の取引については旧消費税率の8%、2019年10月1日以降の取引については軽減税率が適用されるものと経過措置が適用されるものを除いて新消費税率の10%が適用されることとなります。

 

売上を認識する基準としては一般的に、販売側の会社が継続的に採用している認識基準により取り扱いが変わってきます。

 

例)通販などで商品を9月30日に出荷、10月1日に相手先に到着(納品)、同日に検収した場合

販売側の処理
1.出荷基準(出荷日に売上計上)      ⇒ 8%
2.納品基準(納品日に売上計上)      ⇒10%
3.検収基準(相手先が検収した日に売上計上)⇒10%

 

購入側の処理
販売側の認識基準による税率に合わせることとなります。
つまり、請求書などに記載されている税率を適用します。

 

経過措置の具体例

それでは、どのような経過措置が設けられているのか具体例をいくつかご紹介していきたいと思います。

 

旅客運賃等の税率等に関する経過措置

事業者が旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を2014年4月1日から施行日の前日(2019年9月30日)までの間に領収している場合には、実際の乗車や観劇等役務の提供が2019年10月1日以後に受ける場合であっても旧消費税率(8%)が適用されます。

 

「領収している場合」の考え方は下記の通りです。

 

定期券や年間パスポートのような一定期間継続的に利用できるものや回数券等を購入した場合にも、2014年4月1日から施行日の前日(2019年9月30日)までの間に購入していれば旧消費税率(8%)が適用されます。

 

・乗車券等が発行されない場合

チケットレスサービスにより乗車券等が発行されない乗車等であっても2014年4月1日から施行日の前日(2019年9月30日)までの間に購入していれば旧消費税率(8%)が適用されます。JRが提供するスマートEXなどが具体的なチケットレスサービスで、主にスマホ等を利用したものが対象となります。

 

・ICカードのチャージによる乗車等の場合

ICカードのチャージによる乗車等については、2014年4月1日から施行日の前日(2019年9月30日)までの間にチャージ(入金)し、2019年10月1日以後に乗車券等を購入する場合、チャージ(入金)した段階で乗車券等の販売が行われたこととはならないため、旧消費税率(8%)は適用されません。

 

・2019年10月1日以降のプラン変更による追加料金に係る適用税率

プラン変更等により2019年10月1日以後に料金に変更があった場合ダウングレードする場合については領収済みの料金の一部を返金する場合2019年9月30日までの間に領収していることから旧消費税率(8%)が適用されます。
アップグレードする場合については追加で発生した料金分は2019年9月30日までの間に領収されていませんので、旧消費税率(8%)は適用されません。
新幹線の普通席を予約購入していた場合にグリーン席へアップグレードするといった場合は追加料金分のみ新消費税率(10%)が適用されます。
なお、アップグレード等が新たな旅客運送契約の締結(2019年10月1日以降に一度キャンセルして改めて購入する等)となった場合は2019年9月30日までの間に領収している金額も含め全額に対して経過措置は適用されず、新消費税率(10%)が適用されます。

 

請負工事等に係る資産の譲渡等の時期の特例に関する経過措置

2019年10月1日以降に引渡しとなる請負工事については、通常であれば新消費税率(10%)が適用されるところですが、請負工事等に係る契約を2019年3月31日までの間に締結し、2019年10月1日以降に目的物の引渡しを行う場合の請負工事等に係る対価の額については、旧税率(8%)が適用されます。

 

他にも、予約販売に係る書籍の販売や資産の貸付(リースや家賃等)は、2019年3月31日までの間に締結した契約に基づき2019年10月1日以後に課税資産の引渡しや役務の提供を行う場合に経過措置の対象となり、旧消費税率(8%)が適用されます。

 

有料老人ホーム(介護サービス)の税率等に関する経過措置

事業者が、2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した有料老人ホームに係る終身入居契約で、入居期間中の介護料金(消費税が非課税とされるものを除きます。)を入居一時金として受け取っており、かつ、当該一時金について当該事業者が事情の変更その他の理由によりその額の変更を求めることができる旨の定めがないものに基づき、2019年10月1日以前から2019年10月1日以後引き続き介護に係る役務の提供を行っている場合には、2019年10月1日以降に行われる当該入居一時金に対応する介護サービスについては旧税率(8%)が適用されます。
ただし、2019年10月1日以後に当該一時金の額の変更が行われた場合には、当該変更後に行う役務の提供については、この経過措置が適用されません。

 

経過措置を適用する際の注意点

通知義務

この経過措置の適用を受ける場合には、その相手方に対して経過措置の適用を受けたものであること及び適用を受けた部分に係る対価の額を書面で通知することとされています。

 

請求書や領収書等で内訳を記載しておく必要がありますのでご注意下さい。

 

課税仕入れを計上する側の処理について

経過措置の各規定により、旧税率(8%)が適用される31年施行日以後に事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについては、必ず経過措置を適用することとなります。
例えば、旅客運賃等の税率等に関する経過措置の適用を受ける乗車券については、新消費税率(10%)により仕入税額控除を行うことはできません。

 

前回、平成26年4月から消費税率の引き上げが行われたときは、3月に定期券の購入窓口に長蛇の列が出来ていたことが思い出されます。

 

定期的に新幹線に乗られる方は回数券の購入、映画や観劇チケットの早期購入等ご検討されてはいかがでしょうか。

 

経過措置の取り扱いについては、「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」に他にも細かく記載されています。

ご興味のある方は参考になさって下さい。

参考URL
基本的な考え方 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf
具体的な事例編 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf

障がい者の税

障害者には各種の控除がありますが、そもそも障害者控除などの対象となる障害者とは、次に掲げるような心身に障害のある人です。

 

イ)身体障害者手帳に身体障害者として記載されている人(1級または2級と記載されている人は特別障害者)
ロ)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(1級の人は特別障害者)
ハ)精神保健指定医などにより知的障害者と判定された人(障害の程度がAの人は特別障害者)
ニ)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある人(特別障害者)
ホ)いつも病床についていて、複雑な介護を受けなければならない人(特別障害者)
ヘ)精神または身体に障害のある65歳以上の人で、その障害の程度がイ、ハ又はニに掲げる人に準ずるものとして市町村長や福祉事務所長の認定を受けている人(特別障害者となる人に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人は特別障害者)

 

納税者本人が障害者である場合の措置

・本人が障害者であるときは、障害者控除27万円(特別障害者は40万円)が所得金額から差し引かれます。
・相続税では、相続人が85歳未満の障害者に該当する場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が障害者控除として、相続税額から差し引かれます。
・贈与税では、特定障害者の生活費に充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価格のうち、特別障害者については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者については3,000万円まで贈与税がかかりません。(特定障害者とは、特別障害者及び障害者のうち精神に障害のある人)
・預貯金利子では、身体障害者手帳等の交付を受けている人が受取る一定の預貯金等の利子等については、一定の手続きを要件に非課税の適用を受けることができます。
・住民税では、障害者控除26万円(特別障害者は30万円)が所得金額から差し引かれます。
・事業税では、身体障害者手帳の交付を受けている人は、申請により個人事業税が減免されます。
・自動車税、自動車取得税では、身体障害者、知的障害者及び精神障害者のために専ら使用する自動車で、都道府県の定める基準に該当する場合には申請により自動車税、自動車取得税が減免となります。

 

障がい者の年金・給付金・手当等

障害年金

障害年金とは、病気やケガが原因で精神や身体に障害を持つ人で、仕事や日常生活で支障のある人に年金や一時金を支給する制度です。
受給の条件は、障害認定基準を上回る障害状態であること。保険料を一定以上未納していないこと。(20歳未満の人や65歳以上の人は原則として、障害年金を請求できません。)

 

・障害基礎年金
国民年金に加入している間に初診日のある病気やケガで、障害等級表(1級、2級)による障害の状態にある間は障害基礎年金が支給されます。

 

・障害厚生年金
厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガで障害基礎年金の1級又は2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

 

障害者補償給付・障害給付

業務または通勤による疾病や負傷が治ったときに、身体に一定の障害が残った人に、労災から障害補償給付(業務災害の場合)または障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。

 

各種障害者手当

・特別障害者手当
・障害児福祉手当
・在宅重度障害者手当
・特別児童扶養手当
・児童扶養手当
・遺児手当
詳しくは、市町村役場にお問い合わせください。

 

障害者の割引優遇

施設入場料の割引

全国のいろいろな施設では、入場料の障害者割引制度が多くあります。施設によっては障害者本人だけでなく、介護者1名も無料や値引きをしてくれるところもあります。障害者手帳の提示をして優遇を受けましょう。

有料道路通行料の割引

有料道路では、障害者自らが運転する場合、または重度の身体障害者もしくは重度の知的障害者の人が同乗し、障害者本人以外の人が運転する場合に、障害者割引を受けることができます。ですので重度の障害ではない人の介護者が本人を乗せて運転した場合は対象外となります。
なお、割引を受けるには、事前に自動車の登録が必要です。(障害者1人につき自動車1台のみ)障害者が乗っているというだけで割引を受けられるということではありません。

 

郵便料の割引

点字郵便物、特定録音物等郵便物の郵便料金が3㎏まで無料になります。点字ゆうパック(大きさに制限あり)、心身障害者用ゆうメール、聴覚障害者用ゆうパックについても、割引された料金になります。

 

電車・バス等公共交通機関の割引

電車やバスなどの公共交通機関では、「身体障害者手帳」または「療育手帳」を持っている人に割引料金を設定しているところがあります。
障害の程度や本人単独の場合と介護者同伴の場合とで割引の内容が違いますのでそれぞれの機関に確認してください。

 

障害者にはいろいろと優遇制度がありますので、障害者の対象となりそうな人は、まず認定を受けて、制度を活用しましょう。

 

助成金について

助成金とは、ある目的を実現するために努力や工夫を行った企業に対して交付される支援金の事です。

 

大きく分類すると雇用関係の助成金(主に厚生労働省)と、研究開発型の助成金(主に経済産業省)に分かれ、大半の方がご存じなのは、雇用関係の助成金ではないでしょうか。

 

雇用関係の助成金で20種類から40種類、研究開発型の助成金になると3000種類以上もあるそうです。

 

雇用保険に加入している会社が、一定の要件を満たすことでもらう事ができます。

ほぼすべての助成金が事業所の雇用保険の加入を義務づけているため、まずは「保険に加入しているか」、「滞納している保険料はないか」を確認しておくことが必要です。

銀行などの融資とは異なり、お金の返済は必要なく、条件を満たしていれば複数の助成金も利用することが可能です。

財源は、企業が支払っている雇用保険料によって賄われています。

自治体が行っている助成金もあります。

 

助成金と補助金の違いとは?

助成金も補助金も、国や地方公共団体(民間の団体で行っているものもあります)から支給される、原則返済する義務のないお金のことなので大きな意味の違いはありません。

どちらも申請をすることによって受け取ることのできる資金です。

 

助成金は条件を満たしていればもらえ、補助金は審査があり申請を提出しても受け取れない場合があります。

 

・助成金
要件を満たしたものであれば、原則だれでも受け取れる。

・補助金
申請をしても、審査に通過しなければ受け取れないもの。

 

補助金は受け取れる審査通過者の数に限りがあるので定員がいっぱいになり予算がなくなれば終了となります。

補助金は、事業計画書を作成して「どのように役立つのか」など必要性を明確にし、社会に役立つ、社会への必要性を示さなければ審査で承認されません。

助成金に比べると書類の量や審査基準が厳しくハードルが高くなっています。

 

申請について

助成金の申請は、厚生労働省のホームページからも確認する事が出来ます。

 

1、適用要件を確認し、申請する助成金を決定する。

2、申請する助成金に必要な書類を作成し所定の行政機関へ提出。

3、審査開始。提出書類に間違いがないか、添付書類の不備がないかの審査。
審査が通過すれば、決定通知書が送られてきます。

4、助成金の振込(ここまで申請時から1年から1年半ほどかかります。)

 

1から4まで簡単に流れを書きましたが、ご自身で申請を行うとなると、膨大な助成金の中から条件に合っている助成金を選び出す作業、更に複雑な書類の作成作業と、時間と労力ばかりかかってしまうので、社会保険労務士に依頼されるのもよいのではないでしょうか。

 

目まぐるしく変わる社会情勢にあわせた助成金も増えています。

助成金は変化がとても激しいので、最新の情報をしっかり把握しておくことが大切です。

 

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案

所有者不明土地の増加に伴い、公共事業の推進等の様々な場面において円滑な事業実施に支障が生じていることを踏まえ、所有者不明土地の利用の円滑化を図るための「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」が、閣議決定されました。(平成30年3月9日)

 

「所有者がわからない土地」とは、法務局にある不動産登記簿(所有者の台帳に相当)をみても、所有者が判明しない、または判明しても連絡がつかない土地をいいます。

 

所有者の死後、数十年以上、何代も相続登記がされていないなどの理由で、所有者が不明のまま放置されている土地は、「所有者不明土地問題研究会」によると、全国の所有者不明率は20.3%全国で約410万ヘクタールあり、九州の面積約367万ヘクタールを超えるそうです。
このような土地は、大都市圏以外の地方や農村で高い割合を占めています。

 

法律案の背景

我が国では、人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により、所有者不明土地が全国的に増加しており、今後も、相続機会の増加に伴って増加の一途をたどることが見込まれています。所有者不明土地は、所有者の特定等に多大なコストを要するため、公共事業の推進等の場面でその用地確保の妨げとなり、事業全体の遅れの一因となっています。

 

法律案の概要

(1)所有者不明土地を円滑に利用する仕組み
反対する権利者がおらず、建築物(簡易な構造で小規模なものを除く。)がなく、現に利用されていない所有者不明土地について、以下の仕組みを構築。
・公共事業における収用手続の合理化・円滑化(所有権の取得)国、都道府県知事が事業認定した事業について、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定
・地域福利増進事業の創設(利用権の設定)
地域住民等の福祉・利便の増進に資する事業について、都道府県知事が公益性を確認し、一定期間の公告に付した上で、利用権(上限10年間)を設定(所有者が現れ明渡しを求めた場合は、期間終了後に原状回復、異議がない場合は延長可能)

 

(2)所有者の探索を合理化する仕組み
・土地の所有者の探索のために必要な公的情報について、行政機関が利用できる制度を創設
・長期間、相続登記等がされていない土地について、登記官が、長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度を創設

 

(3)所有者不明土地を適切に管理する仕組み
・所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度を創設

 

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案まとめ

この新しい制度では、「所有者不明土地」を活用して事業をしようとする自治体、民間企業、NPO法人などは、

 

1.都道府県知事あてに「事業計画書」を提出し、

2.審査のうえ、知事が事業に公共性があると判断すれば、「地域福利増進事業」に認定され

3・10年間の一時利用権(土地利用権)が与えられます。

4.所有者が現れた場合に備え、利用期間の賃料相当額を補償金として法務局に供託します。

5.所有者が現れて明け渡しを求めた場合は、原状回復して返還することが原則ですが、所有者が了解すれば利用を延長できます。

 

想定される施設は・・・

公共性のある、公園、運動場、公民館、図書館、コンサートホール、農産物直売所、仮設道路などを想定しています。

 

これからますます高齢化社会が進むことで、「所有者不明土地」が長い間未利用地だった状況を有効に活用するための取り組みとして、大いに期待したいです。

特定役務の提供

特定役務の提供とは?

特定役務の提供とは、消費税法2条1項8の5に、「資産の譲渡等のうち、国外事業者が行う演劇その他の政令で定める役務の提供(電気通信利用役務の提供に該当するものを除く。)をいう。」と規定されています。

 

では、「その他政令で定める役務の提供」とはどういうものかといいますと、これについては消費税法施行令2条の2に、「映画若しくは演劇の俳優、音楽家その他の芸能人又は職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業として行う役務の提供のうち、国外事業者が他の事業者に対して行う役務の提供(当該国外事業者が不特定かつ多数の者に対して行う役務の提供を除く。)とする。」と規定されています。

 

ざっくりと言ってしまえば、外国人アーティスト等が日本国内で一定の活動した場合と考えていただければ判り易いでしょう。

 

「特定役務の提供」に該当した場合はどうなるの?

「特定役務の提供」に該当した場合は、国外事業者から国内において当該役務の提供を受けた事業者が「特定課税仕入れ」として、「リバースチャージ方式」により申告・納税を行うこととされています。

 

ただし、経過措置により、当分の間は、当該課税期間について一般課税で申告する場合で、課税売上割合が 95%未満である事業者にのみ適用されることとなります。

 

参考

リバースチャージ方式とは、「国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供(これを特定課税仕入れという)を受けた場合、サービスの受け手である国内事業者に消費税を課す」方式です。
まぁ、いわゆる後手に回っていたAMAZON等への対策ですね。

 

特定役務の提供の事例問題

それでは、前項の内容を踏まえて簡単な事例問題を出します。
恐らくは、「答えを知っている」という方を除いては、殆どの方が間違えることと予測していますので気軽にやってみてください。

 

<前提>
・海外モデルのAさんは、この度初めて来日し次のスケジュールで仕事等を終え帰国しました。
4月1日 来日
4月2日 ファッションショー出演
4月3日 テレビ放送ゲスト出演
4月4日 CM撮影
4月5日 観光(京都・奈良)
4月6日 ファッション誌撮影
4月7日 映画撮影
4月8日 帰国

 

・上記の仕事に対するAさんの報酬は次の通りです。
1.ファッションショー出演(ギャラ300万円)
2.テレビ放送ゲスト出演(ギャラ50万円)
3.CM撮影(ギャラ3,000万円)
4.ファッション誌撮影(ギャラ200万円)
5.映画撮影(ギャラ150万円)
※ギャラは全て日本の企業が支払っています。

 

<問題>
さて、上記の1~5のAさんが行った各役務の提供は「特定役務の提供」に該当するでしょうか?

 

解答

『特定役務の提供』に該当するもの
2.テレビ放送収録
3.CM撮影
5.映画撮影

 

『特定役務の提供』に該当しないもの
1.ファッションショー出演
4.ファッション誌撮影

 

根拠については以下の通りです。

 

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A

(平成27年5月(平成28年12月改訂)・国税庁消費税室)
(「特定役務の提供」の範囲3)【平成28年12月追加】
「問43-3 非居住者であるモデルが行う役務の提供は「特定役務の提供」に該当しますか。」

 

【答】
「特定役務の提供」は、国外事業者が芸能人として行う映画の撮影・テレビの出演等が該当します。
したがって、ファッションショーや雑誌等で服を披露するなど、非居住者からモデルとしての役務の提供を受けた場合、このような役務の
提供は、芸能人として行う役務の提供には該当しませんので、「特定役務の提供」には該当しないこととなります。

一方で、その役務の提供が、テレビやコマーシャルへの出演など、モデルとしての役務の提供ではなく芸能人としての役務の提供である
場合には、モデルの肩書を有する非居住者が提供するものであっても、「特定役務の提供」に該当します。

 

・・・ということらしいです。

 

つまり、「モデル」と「芸能人」の取扱いが違うということを言っている訳ですね(良く判りませんが・・・)。

 

消費税の軽減税率制度とは?

平成31年10月1日から消費税が1-%に引き上げられる事になっています。
全ての品目が10%に引き上げられるのではなく、低所得者対策として一定の品目については8%のまま据え置かれる事が決まっています。

税率が8%のまま据え置かれる対象品目とは?

 

①飲食料品(酒類は除く)

 

・ここでの飲食料品とは、人の飲用又は食用に供するものをいいます。

・ノンアルコールビールや甘酒は8%となります。

・工業用で使用される塩等は軽減税率の対象となりません。

・おもちゃ付きのお菓子等、食品と食品以外の資産が一体となっている物については税抜価格が1万円以下で、食品の占める割合が2/3以上の場合は8%となります。

 

 

②テイクアウト、宅配等(外食、ケータリング、出張料理は除く)

 

・ハンバーガー店での店内飲食は10%となり、テイクアウトは8%となります。

・屋台(テーブル、椅子等の飲食設備を有していないもの)は8%となります。

※ケータリングとは相手方が指定した場所において行う、役務を伴う飲食料品の提供をいいます。

 

 

③週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

 

8%になる品目についての判断は、国税庁より消費税の軽減税率制度に関するQ&Aが発表されておりますので、一度確認されてみてはいかがでしょうか。

 

事業者への影響

事業者の皆様は、食料品を扱わないし飲食業でもないので軽減税率は関係ないと考えている方もおられるのではないでしょうか?
下記に①から③の例を挙げてみました。

 

①自分はスーパーマーケットのように食品や雑貨等、多種多様の品目を扱わない、精肉店なので消費税は全て8%として考えてもよいのでしょうか?

肉の売上、仕入は8%になりますが、容器等の仕入は飲食料品ではない為に10%となるので区分けする必要があります。

飲食料品の販売の際に使用される包装材料や容器は、その販売に付帯して通常必要と認められる時は、その包装材料等も軽減税率の対象となり8%の売上とします。

 

②飲食料品も新聞も扱わない、電気工事業者は全て10%でよいのでしょうか?

お客様に出したり自社で消費する茶菓子、贈答用の飲食料品は8%になるので税率ごとに区分けする必要が出てきます。

 

③免税事業者はどうでしょう?

免税事業者なので消費税の申告、納税は不要なのですが、軽減税率に対する事前準備は必要になってきます。
雑貨屋等のように、お菓子とペンを売った場合は、購入者から8%と10%を区分して記載した請求書(区分記載請求書)を求められる場合があります。

 

平成31年10月1日から実施される軽減税率制度の実施は、多くの事業者が8%と10%を区別する為に、事前準備が必要になってくるのではないでしょうか。

 

軽減税率制度への準備

8%と10%を区分けする事前準備が必要と書いてきましたが、何から準備すればよいのか?

まず思いつくのが、複数税率に対応するレジの導入や、受発注システムの機能についての改修、入替ではないでしょうか。

中小企業、小規模事業者がレジの導入や、受発注システムの改修。導入を行った場合は、中小企業庁から費用の一部を補助(補助率2/3)してもらえます。

 

①複数税率対応レジの導入の場合(A型)

<申請方法と期限>
・補助額はレジ1台あたり上限20万円、1事業者が複数台購入する場合は200万円が上限となっております。
1台のみ機器導入が3万円未満の場合は補助率3/4、タブレット等の汎用端末は補助率1/2となっています。

・平成29年9月30日までに導入し、平成31年12月16日までに申請となっています。(事後申請)

 

②受発注システムの改修等の場合(B型)

受発注システムの改修等の場合は指定事業者に改修を依頼するB-1型、事業者自身でソフト等を購入して改修・入替を行うB-2型の2種類に分類されます。

補助額はB-1型、B-2型共に、発注システムの場合は上限1000万円、受注システムの場合150万円、両システムの改修、入替えの場合は上限1000万円となっております。

補助率は改修・入替に係る費用の2/3、補助対象外のパッケージ製品、サービスについては初期購入費用の1/2を補助対象経費として、これに補助率を乗じます。

<申請方法と期限>

・B-1型

専門的知識を必要とするシステムの改修・入替のため指定事業者による代理申請となります。

改修・入替に着手する前の「交付申請」と改修・入替が完了した後の「完了報告」の2段階の申請が必要です。
※交付決定以前に作業を着手した場合は補助の対象とはなりません。

平成29年9月30日までに完了する事を前提に、平成31年6月28日までに交付申請、平成31年12月16日までに完了報告書を提出します。

 

・B-2型
事務局に登録されているパッケージ製品、サービスが対象となり、申請は改修・入替後に行います。

平成29年9月30日までに導入し、平成31年12月16日までに申請となっています。(事後申請)

 

補助金の詳細は中小企業庁のホームページに掲載されておりますので、検討される方はご参照下さい。

 

また下記の準備も大切ではないでしょうか。

・軽減税率制度の仕組みについて学習する

・扱う商品の適用税率の把握

・従業員への研修

 

事業者の皆様も、直前で慌てない為にも早くから軽減税率制度に対応できる準備を進めていきましょう。

クラウドファンディングの概要

そもそも「クラウドファンディング」とは何かと言いますと、インターネットを通して不特定多数を相手に行う資金調達の手法の一つを指します。

 

銀行借入等の一般的な資金調達方法と比べると以下の2点が大きく異なります。

 

・不特定多数を相手にアピールを行うことができる

・個々の出資額は少額でも多数の人々から出資を募ることができるため、ある程度まとまった資金を集めることが可能

 

また、クラウドファンディングは大きく分けると「購入型」「寄付型」「投資型」「融資型」の4つに分類されます。

 

「購入型」
出資額に応じて資金調達者から資金提供者へのなんらかのお礼(リターン)が行われます。
この場合、将来的に商品の引渡し又は役務の提供を受けるための対価として資金提供を行います。
その後プロジェクトが達成された時に、商品の引渡し又は役務の提供を受けることになります。

 

「寄付型」
購入型のようなお礼が無い形態で、資金提供者に対して何のリターンも発生しません。

 

「投資型」
出資者がプロジェクトの利益から配当という形で、リターンを受け取ります。

 

「融資型」
資金提供者が資金を貸付け、利子という形でリターンを受け取ります。

以下では、それぞれのタイプ別に取扱いを見ていきます。

 

「購入型」の取扱い

購入型の場合は以下の2通りで考えることができるかと思います。

資金を受け取った会計期間の収益として扱う場合

法人税法・基本通達2-1-39
「法人が商品の引渡し又は役務の提供(以下「商品の引渡し等」という)を約した証券等(以下「商品引換券等」という)を発行するとともにその対価を受領した場合における当該対価の額は、その商品引換券等を発行した日の属する事業年度の事業年度の益金の額に算入する。」

を基に考えることができるかと思います。

 

今回の例でいうとクラウドファンディングで集めた資金を受け取った(この時点で商品の引渡し等が義務付けられる)ことと、商品引換券等を発行したことが同様だと考えられる為、全額が売上高として資金提供を受けた会計期間の収益として扱うことができるかと思います。

 

商品又は役務の提供が行われた会計期間の収益として扱う場合

資金調達者が資金を受け取った時点で、資金提供者への商品又は役務を提供する義務が発生します。

ここで提供を受けた資金はあくまでも「代金の先払い」と考えられるかと思います。
この場合は、商品又は役務の提供が実際に行われた会計期間の収益として扱うことができるかと思います。

ただし、提供を受けた資金額がリターンの内容に比べて高額な場合は、寄付型としての扱いになる可能性があるので注意が必要です。
(お礼のお手紙や、資金提供者の氏名をHP等に記載するなどではリターンの対価として認められないことがあるようです。)

 

「寄付型」「投資型」「融資型」の取扱い

「寄付型」の場合

上述の通り、寄附型の場合は資金提供者へのリターンは通常行われない為、資金提供を受けた会計期間の収益として扱うことになるかと思われます。

 

「投資型」の場合

投資型は「金銭によるリターンを伴う」ため、金融商品取引法による規制の対象となっています。実際に行うには金融商品取引業の登録が必要となっており、日本国内ではあまり普及していませんのでここでは割愛させていただきます。

 

「融資型」の場合

融資型の場合、一般的な借入と同様の扱いとなります。実は世界的にはこの「融資型」が主流となっていますが、投資型と同様に金融商品取引業の登録が必要となっており、日本国内ではあまり普及していませんのでここでは割愛させていただきます。

 

それぞれの取扱いについては、具体的な指針等がまだはっきりと示されていない為、類似するものを当てはめつつ推測した内容となっております。
実際の状況を勘案して判断することになりますので、最寄りの税務署や税理士までご相談下さい。

 

法人の役員に対する贈与・低額譲渡

 

消費税法には<法人が資産をその役員に対して贈与した場合におけるその贈与>については、<事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす>という旨の規定があります(消費税法第4条第5項第2号参照)。

 

また、同じく消費税法に<法人が資産を役員に譲渡した場合において、その対価の額がその譲渡時におけるその資産の価額に比べて著しく低いときは、その資産の価額に相当する金額をその対価の額とみなす>という旨の規定があります(消費税法第28条第1項但書参照)。

以下において、それぞれのケースを見ていきます。

 

課税資産を役員に贈与した場合

 

例えば家電製品の小売業を営む甲株式会社において、その役員Aが店頭に陳列されてていたパソコンを勝手に自宅へ持ち帰って私用に使ったとします。

 

この場合、甲株式会社からAへ贈与があったとされます。そして、役員への贈与ですので、対価を得て行う資産の譲渡とみなされて、原則として贈与時におけるその資産の価額(時価に相当する金額)を課税売上高に計上しなければなりません。

このパソコンの陳列時の販売価額が20万円であったならば、この20万円を課税売上に計上することとなります。

ただし、棚卸資産を譲渡した場合には、「仕入金額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する以上の金額」をもって課税売上高に計上することが認められています。

そうすると、パソコンの仕入金額が8万円だった場合には10万円を課税売上高に、仕入金額が12万円だった場合には12万円を課税売上高に計上することが認められます。

 

著しく低い価額で課税資産を役員へ譲渡した場合

 

これは、その課税資産の時価のおおむね50%に相当する金額に満たない価額での譲渡があった場合をいいます。

 

例えば高級ブランド品を取り扱う乙株式会社において、その役員Bが本来の小売価額20万円であるヴ○○ンの財布を、3万円で乙株式会社から買い取ったとします。

この場合は、Bから受領した3万円ではなく、原則として20万円を課税売上高に計上しなければなりません。

なお、その譲渡された資産が棚卸資産である場合には、「仕入金額以上、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%以上に相当する金額以上の金額」での譲渡であるならば、著しく低い価額により譲渡した場合に該当しないものとして取り扱われます。

そうすると、財布の仕入金額が8万円だった場合には10万円以上、仕入金額が12万円だった場合には12万円以上で買い取れば、低額譲渡の規定に抵触しないこととなります。

 

また、金額だけみると法人が役員に対して課税資産を著しく低い価額で譲渡した場合に該当することになっても、その課税資産の譲渡が、役員及び使用人の全部について一律に又は勤務年数などに応じて合理的に定められた値引率に基づき行われた場合には時価ではなく、実際の対価の額を課税売上高に計上することとなります。

 

自家消費した場合の対価

 

自家消費をした場合に売上として計上すべき金額については、所得税と消費税で若干取り扱いがことなります。

 

(1)所得税

 

原則として自家消費した資産の通常販売価額で売上計上します(所基通39-1)ただし、特例がありまして、通常販売価額でなくとも、①通常販売価額の70%に相当する金額以上の金額、②仕入金額のいずれか大きい金額をもって売上計上することも認められています。(所基通39-2)

 

(2)消費税

 

棚卸資産を自家消費した場合は、原則として自家消費した資産の通常販売価額を課税売上高に計上します(消費税法28条第3項第1号、消基通10-1-1参照)

ただし、こちらも特例がありまして、通常販売価額でなくとも、①通常販売価額の50%に相当する金額以上の金額、②仕入金額のいずれか大きい金額をもって、課税売上に計上することも認められています(消基通10-1-18)。

なお、棚卸資産以外の資産を自家消費した場合には、その消費した時点での時価をもって課税売上高に計上しなければなりませんので、ご留意して下さい。

 

そして、消費税の計上基準によって売上計上した場合、所得税の計上基準に合致しない事が考えられます。

そのため、自家消費した場合には、「仕入金額より多く、かつ、通常販売価額の70%以上」の金額をもって売上高に計上しておくのが妥当と思われます。

 

自家消費した場合の計上例

 

簡単な例で確認したいと思います。

居酒屋X商店ではメニューの一つに鯖の塩焼きがあり、一匹300円です。この鯖の仕入額は一匹100円です。

X商店の店主αが余った鯖一匹を塩焼きにして昼食の一品にしました。

この自家消費において売上に計上すべき金額は・・・、210円です。

 

各都市の特別徴収徹底状況について

まずは首都圏の状況ですが

埼玉県  → 平成27年度から
千葉県  → 平成28年度から
神奈川県 → 平成28年度から(一部は平成27年度から)
東京都  → 平成29年度から

となっています。

 

埼玉県にお住いの方の分は既に今年度から、千葉県と神奈川県にお住いの方の分は来年度から原則特別徴収になります。
東京都にお住いの方の分だけ来年度まで普通徴収が選択できます。

 

 

それ以外の大都市圏は

大阪府  → 平成30年度から(一部は平成28年度から)
愛知県  → 豊川市など一部は平成28年度から

名古屋市は特別徴収の推進強化中というだけで、いつから徹底するとの規定はないようです。

 

 

特別徴収が徹底された市区町村に対して普通徴収を選択しても、強制的に特別徴収にされてしまう可能性があります。

ただし総従業員数が少なかったりなどの理由により普通徴収を選択できるところもあるようなので、詳細は各市区町村へお問い合わせください。

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