相続税の税務調査(H27統計)
税務調査についての統計です。
平成27年の調査実施件数は1万2千件でした。
税務調査は、申告してから1年~2年後に行われるため平成25年、26年に申告されたものに対する調査かと思われます。
平成25年、26年の申告件数はおよそ5万5千件ですので、調査が行なわれる割合は約2割です。
また税務調査をする税務署の職員の人数は変動しないと仮定すると、平成27年の申告件数10万件に対して調査が行なわれる割合は1割程度に下がると思われます。
ただ調査が行なわれる割合は、1~2割ですが税務調査が行われた場合の申告漏れ等を指摘される割合は8割と非常に高いです。
平成27年に行われた税務調査の申告漏れ財産の内訳は次のとおりです。
現預金 1,036億円 不動産 410億円 有価証券 364億円
現預金が飛びぬけて多いですね。被相続人の名義ではないが相続財産に該当する名義預金や手持ち現金などが指摘されていると思われます。
税務署は事前に預金の動きなどを確認して、ある程度証拠を掴んでから調査を行うため申告漏れを指摘される割合は8割なのでしょう。
調査1件あたりの申告漏れ金額、追加で支払う税額は、どうでしょうか?
・調査1件あたりの申告漏れ財産価格 2,517万円
・追加で支払う税額 489万円
上記は全体の平均ですが、海外に財産を保有している等の海外関連の申告に絞ってみると調査1件あたりの申告漏れ財産価格は約4千万円と増加します。
海外財産の申告漏れ件数の構成割合は
現預金4 不動産2 有価証券2 その他2
ここでも現預金が大きなウエイトを占めていますね。
海外財産について相続税が課税されるかどうかの判定基準が、平成29年の改正でも厳しくなる改正が行われています。
また日本に比べて財産価値が下がりにくい欧米の中古物件に投資する相続対策にも改正のメスが入りそうです。
・2017年2月21日 公開